exPhotography : 俺の実験写真

更新は週にいちど。
 

独り立ちの写真

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何を表現するか が問題であれば手法なんかどうでも良い とは前に書いた気がする。
しかしそれが定かになっていない俺は,まだ手法自体が興味の対象になっている未熟者だ。

デジタルの世界を味わって,逆に従来の写真の手法(オルタナティブ)の良さに気付き始めたのは良いが,どれも皆一朝一夕に出来るものではない。しかし,メーカーの掌でもてあそばれるのはもう飽きたので,なんとか<独り立ち>して写真を創り上げてみたいと思うのだ。
カメラは箱。レンズはひとまずそこそこ写ればよい。光を感じるモノ,これを自ら作れるようにならねばならぬ。
幸いに周囲には主にネットを通じて知り合った先輩方が沢山いらっしゃる。
スローペースながら動き始めよう。写真本来の喜びに回帰するのだっ!

立体の認識

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半年前にバラックでつくっていたステレオビュアーを写真展のために本格的に作り直した。
半日かけて作ったそれは,小学生の夏休みの工作のような出来になった。まるで進化していない。バラックIIといった感じ。

さて,このおもちゃを使ってまずはステレオペアではない,普通の日常風景を眺めてみる。
目と目の間隔は10インチに広がる。ガリバーのような大きさだ。面白いことに遠近感が異常に強調される代わりにモノが小さく見える。
まるで自分がガリバーになったかのようだ。ちょうど本城直季さんのミニチュア写真を見ているような感じがしないでもない。

次に,この状態で輻輳角を変えてみる(寄り目,離れ目)。輻輳角を大きく(寄り目)にするとさらモノは小さく見える。輻輳角がモノの大きさの判断にかなり大きく寄与していることが予想される結果だ。

3Dコンソーシアムの「3DC安全ガイドライン」(飛び出す絵や動画が人体に悪影響を及ぼさないようなコンテンツを作るための指針)を見てみると,人間が立体を認識する要素は以下の14があると述べられている。

(1)水晶体の焦点調節 (2)両目の輻輳 (3)両眼視差 (4)単眼運動視差 (5)物の大小 (6)物の高低 (7)物の重なり (8)きめの粗密 (9)形状 (10)明暗 (11)コントラスト (12)彩度 (13)色相 (14)鮮明度(ボケ具合というのはおそらくこの鮮明度に入るのだろう)。

この14項目の順番がどういう根拠なのか明記されていないのだが,およそ立体を認識する要因の強さの順に並んでいるのではないかと予想する。この中で特に(1)と(2)が網膜に写る画像情報そのものとは無関係なのが興味深い。
(1)の水晶体の焦点調整というのは,近くを見るときは水晶体を厚くすべく筋肉が緊張し,遠くを見るときは水晶体を薄くするために筋肉が弛緩するという,まさに筋肉の張りを監視するセンサーが前後を判断するということだろう。
片目をつむってもだいたいの位置関係を把握できるのは,無意識に働くこのセンサーのお陰なのかもれない。

(2)の両目の輻輳角は,寄り目の度合い,つまりこれも目の筋肉の緊張度合いを感じるセンサーが示す感覚の一つだ。ステレオペアで立体視をするとき経験することだが,平行法と交差法において,同じサイズのステレオペアでも,平行法で見た画像は大きくおおらかに感じられるのに対し,交差法で見た画像はミニチュア的に見える。
平行法で見るときは,目は左右それぞれのステレオペアの間隔に合わせて広がるので,輻輳角はかなり小さくなる。普段の生活で輻輳角が小さくなるののは,遠くにあるものを見つめる時だから,脳は経験的な類推により,そのステレオペアの写真は遠くにあるものだと判断をする。遠くにあるにも関わらずそれが与えられたサイズに見えるのなら,それは大きいものだと判断するに違いない。交差法で見るときはそれと逆のことが起こり,小さいものだと判断するのだろう。

普通のステレオビュアーではビュアーの間隔,輻輳角を変えることが出来ないので,撮影したステレオペアの左右の間隔(場合によっては上下,および回転角)を調整して(アライメント)最適の飛び出し量になるように設定するもよう。

手作りのステレオビュアーの場合,輻輳角の調整は自由に出来るので,写真側のアライメントは固定して,ビュアーの調整でステレオ位置を調整出来るのだ。が,多くの人に見てもらう場合はいちいちビュアーを調整するのが面倒なので,やはり写真側でアライメントを調整すべきかと思っている。でかい写真をそのままの状態で左右に並べてステレオで見せるのはなかなか難しいのだと言うことが分かった。

それにしても,撮影のときのステレオベース(左右のレンズの間隔)も大事なパラメータであるのに,撮影後の鑑賞時にさえ,様々なパラメータがあり,なかなか最適に見せるのは難しい。両眼視差によるステレオペアの立体写真は非常にシンプルで,それゆえ長い歴史を持ち奥は深い。カチッとはまったときの立体感とリアルさは,まだまだ最新の3D動画技術に負けないのではないかと俺は思っているのだ。
もっと勉強しないとイカン。

写真展

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exh8x10.jpg

9月22日(水)〜30日(木)10:00〜19:00(最終日15:00終了)
元麻布ギャラリー
都営大江戸線麻布十番駅7番出口より徒歩4分
〒106-0046
東京都港区元麻布3-12-3

またまた無謀にも参加させていただきます。
少し変わった形で出品します。まだ出来上がっていないので,これからどうなるかわからない。
失敗するかもしれん。

混ざった色,混ざった音

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前に色について駄文を書いたのだが,人間は例えば単色の緑色も,黄色と水色が混ざって生じた緑色も区別出来ないと書いた。
となると,世の中に溢れる緑色には純粋な緑の波長を示す緑色と,いくつかの色が混ざり合って出来ている緑があって,それがごチャまぜになって俺達の目に飛び込んでいるということだ。
まず印刷物の緑はおそらく全てが混ぜ合わせて出来た色。植物の緑はおそらく純粋に緑の波長を反射してその色に見えているもよう。
昔使った分光光度計なんていう道具では溶液のスペクトルしか測ったことはなかったけれど,世の中のあらゆるものにカメラのファインダーや露出計のように測定器を向けて,被写体のスペクトルを測ることができたら面白いと思った。
世の中には既にそういう道具もあると思われるが,デジカメにどうでもいいクダラナイ機能を付けるのは止めにして分光光度計でもつけてみろ,少なくとも俺は買ってやるのだぉ。

さて,単色と混ざった色の区別はつかないのかも知れないが,多くの画家たちが描いた作品は人間の目が混色によっていかに美しさを感じるかを示した好例なのかもしれない。物理的な混色とはまた違うのだろうが,位置をずらしながらそれに加えて色を微妙に変化させることにより,ある程度の距離をとってみればそれが予想を超えた結果を生む。人間の感覚の妙とそれを熟知した業師たちの仕事は素晴らしいものだ。

面白いことにスペクトル分離が出来る感覚器,「耳」でも同じようなことが無いわけでは無いもよう。物理的なうなりの類はもちろんだが,ひとつの音だと面白くもなんともない音が2つ3つと加わるごとに何倍もの美しさをもって聞こえるというのは経験的にあるように思う。
例えば打楽器。シンバルひとつだけ叩いてみてもちっともいい音がしない。が,しかしベースドラムと合わせたり,スネアドラムと合わせて叩いた瞬間「ハッ」とするような艶っぽい音に変わる気がするのだ。
あるドラマー曰く,「そういうことが考えられて作られているのか,だとしたら凄いとしか言い様がない」。真実はどうか分からないが,人間の感覚は全く興味深いものだ。
音に関する錯覚=イリュージョンも色々あって面白く,そういうことを知り尽くして作られた業師たちの作品を聞いてみたい。

Daguerreotype体験(2/2)

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いよいよダゲレオタイプを自分の手で作る日がやってきた。大コーフン。
今日はものすごく良い天気。夏の真っ只中でこんな青い空は今まで見たことが無いくらいの濃い青空の日であった。
紫外線たっぷり。暑いけれども比較的湿度は低くサラリとしている。ダゲレオタイプにこれ以上の日は無いであろー。

さて,まずは新井氏のデモンストレーションからスタート。前回のデモンストレーションは水銀を使って現像する手法だったが,我々が本日取り組む方法は主に安全性の観点から優れているベクレル法と呼ばれる現像プロセス。
その方法は「あっ!」と言うほどカンタンで,なんと露光した後の原版にオレンジ色のフィルターをかけて太陽光に曝光するだけというものだ。露光までの様々な条件によって変わってくるということだが,新井氏のデモではオレンジのフィルター越しに3,4分で画像が現れるのが目視出来たのだ。このベクレル法の場合,銀板に施すハロゲン化はヨウ素のみというのも危険性が少なくて大変優れているとのこと。
新井氏によるデモンストレーションは,銀板磨き,ヨウ素化(これがノウハウの塊),撮影,現像,定着,金色調と進み,全ての工程を約1時間ちょっとで終了。そのスピーディーさと予想以上の簡便さに感動を覚えたのであった(もちろんこんなに簡単に感じるのは,新井氏のたゆまぬ研究の成果であることは言うまでもない)。

さて,一通りの工程を頭に入れた後,いよいよ我々も銀板磨きからスタートだ。ダゲレオタイプの工程の中で最も大事だとされるこの銀板磨き。セーム皮にふりかけたベンガラ(酸化第二鉄)を研磨剤としてひたすら磨くのだ。ねっとりとしてセーム皮に吸いつくような感触。
新井氏によると熟練すればこの手応えで仕上がり具合が分かるとのこと。なかなか数値化出来ない部分だ。よっ,職人わざっ。
新井氏のこれまでの研究成果に依るところがとても大きいのだろう,最適化された銀板でもって,30分程度で磨きを終えることが出来た。すばらしすぎ!



その次が磨きと同じくらい肝のハロゲン化。この過程が最も驚きアンド興味深かったのだが,ヨウ素蒸気下に置く時間によって銀板表面の色が7色に色を変えるのだ。AgIの薄膜による干渉とのこと。この色が黄色になった時を見計らって処理を終える。他の色でやめると写らないというから面白い。薄明かりの中で色を判断するにはやはり熟練を要する過程。このあたりのノウハウを確立した先人達に頭の下がる思いである。

さて,次はいよいよ撮影。滅多にないくらいの極ピーカンの今日はF4で90秒露光と決定。これも新井氏のノウハウの蓄積だ。参加者は思い思いのポーズをとり被写体に。小道具を持ち込んで撮影した方もいた。
前回のワークショップで自分が被写体になることを承知していたせいなのか,普段なら撮影者となる写真マニアorプロの参加者達も素直に被写体に。滅多に写されるチャンスがないダゲレオタイプという手法がなせる技なのか。150年前の人々の気持ちとシンクロする瞬間である。
俺は小道具を持ち込み,全身全霊をかけ止まった。ピーカンの屋外でカメラのレンズ1点を見つめて1分半のフリーズ。俺の網膜にもあざみ野の風景が焼き付いたのであった。撮影スタッフの方々,ありがとうございました。

Daguerreotype体験(1/2)

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博物館でガラスケース越しに見ていただけのダゲレオタイプであったが,新井氏のワークショップに参加させていただいて,身近に体験する機会を得ることが出来た。
圧倒的な存在感である。そんじょそこらの鏡以上に磨かれた銀板に刻まれた画像それ自身が,今巷に溢れる現代の写真とあまりにも印象が異なるからというのも理由のひとつだろう。
が,150年前に写された実物は,そういった見かけの要因以上のパワーでもって我々に訴えかけてくる力がある。写真といっしょに添えられた遺髪,洋服の切れ端,そして死んでしまった子供に衣装を着せて抱き抱える母の像,添えられた文章...。確かにこの世に生きていた証をダゲレオタイプという新しいメディアに託し,後世に永遠に残そうとした強い意志がそこにあったからかも知れない。



104_1732.JPG
さて,1日目はダゲレオタイプの歴史を学ぶ講義から始まり,後にカメラオブスキュラの体験。スタッフが制作してくれた大型のカメラオブスキュラに入って写真の原点を身体で感じた。
思えば俺もガキのころ,ボール紙とトレーシングペーパーで作ったカメラオブスキュラにいたく感動して写真が好きなったのである。小さな穴を光が通っただけというあまりにシンプルな仕組みが逆さに見事な像をつくる。単純すぎるのに結果が驚くほど楽しい,そのギャップが自然科学や技術へ興味を覚える最大のきっかけになると思っている(PETのコップに音溝を刻むシンプルな蓄音機などもこれと同じような興奮が味わえる。子供に必ず体験させるべき重要アイテムなのだ)。

その後,お待ちかねの新井氏によるダゲレオタイプ写真のデモンストレーション。銀板磨きから,ヨウ素,臭素によるsensitizing,当時のカメラを使った撮影(露光時間7分),そして水銀による現像,仕上げの金色調までの具体的なプロセスを見せていただいた。104_1735.JPG
どうやら,何と言っても銀板磨きが命のようである。写真がまともに写るかどうかは銀板をいかに精緻な鏡面に仕上げるかにかかっている模様。初心者にはこの作業が最も難関であると思われる。右写真はバフの上で銀板を磨く新井氏。研磨剤は弁柄(ベンガラ)。

また磨いた銀板はハロゲンの雰囲気下に置くことによって光に感じるようになる。ヨウ素にあてた後,臭素雰囲気下に置くとヨウ化銀のみよりも感度が4段ほど上がるとのこと。この時の温湿度や時間も経験がモノを言う。写真は新井氏がfuming boxに臭素を満たそうとしているところ。
104_1739.JPGドライプロセスであることはありがたいが,それにしても水銀蒸気による現像と合わせてダゲレオタイプのプロセスにおいて最も危険な作業だそう。あな恐ろしや。

さて,作品が出来上がった。また新井氏の最近の作品を間近に見せていただいた。全く素晴らしい質感。ヤラレタ。ノックアウトである。これはやるしか無い。いつになるかは分からないが。

見せていただいた参考書(The Daguerreotype: Nineteenth-Century Technology and Modern Science)によれば,ダゲレオタイプの表面の電子顕微鏡写真は,まったく見事な球状の物質からなる点の集まりであった(これがおそらく銀と水銀のアマルガム)。我らに馴染んだゼラチンシルバーのフィルムに見られるような余計なバインダーはもちろん,ハロゲン化銀の周りにフィラメント状にもじゃもじゃ伸びた不明瞭な画像が一切ないのに驚いた。
考えて見れば,ピュアな銀板に僅かなヨウ素と臭素を反応させただけの純粋なハロゲン化銀のみで余計なものは一切無く,しかも予想するにそれは極薄の膜。それこそ分子レベル(?)の粒子による画像が形成されるのか。これは驚くべき解像度だろう。
恐るべしダゲレオタイプ。写真の黎明期にして既に最高の画質が達成されていたのである。

いよいよ今週の日曜は実践なのであーる。

Daguerreotype

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デグゥェレオタイプである。
珍しくくじ運が良く,念願のワークショップに参加させていただくことになった。
日本のダゲレオタイプの第一人者 新井卓氏直々の指導。写真の体験は全てが貴重だと思っているが,中でも今回のチャンスはめったに巡り会えるものではないので,細大漏らさず情報を受け取るべく気合を入れているところである。

新井氏のサイトでも紹介されているダゲレオタイプのポータル的サイトContemporary Daguerreotypesでブルーに光る魅惑的な作品に心ときめき。
また氏のダゲレオタイプ写真の製作過程を示したビデオを見て予習を。



他にもネットで得られる情報はまだまだあるようなので,本番まですこし勉強をしてみよう。

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俺は...

男,49歳,ここは俺のPhotographyのブログ。
すべてが実験なのよっ。

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